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あれはEG20に虹が付いた翌日だった。
JRの暴挙に立ち向かおうと、同じ志を持つ若者が横浜駅に集まった。のりかえ改札の前でJRの悪党ぶりを共有していると、1人の若者がナナゴロンチキの運転日を教えてくれた。
推しに会えない。新幹線も満足に乗れない。
たまにスープが甘くなる蓮爾しか楽しみがない僕にとって、こんなに嬉しいことはなかった。彼にはこれ以上ない幸せが訪れてほしいし、彼が降りる新幹線駅は全てEG10であってほしいし、彼の結婚相手は深田恭子とか、松岡茉優とか、本田翼とかであってほしい。
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彼への感謝を忘れることなく、晴れ男コンビで41Bに乗り込んだ。雨が降りそうな空。突き刺す風。太陽光は通過直前に線路を照らす
だが、幾多の雲を除けてきた晴れ男コンビの強運を以てしても、ナポレオンフィッシュが呼び寄せる雲には勝てなかった。
ナポレオンフィッシュの曇り男ぶりを再確認したと同時に、JRへの憤りも増す。無札警告さえ無ければ、彼を呼び出す必要がなかった。無札警告さえ無ければ、社会が益々活気づいた。
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「捕まえたくて導入したんじゃない。悪いことをしている自覚を持ってもらうためだ。」
大宮支社の現業長が言ったそうだ。
しかし、「君らこそ、客に対して悪いことをしている自覚を持て」。人々を苦しみから解き放ち、常に社会の幸せを願った日蓮聖人の御言葉は、激動の令和を生きる我々を励ましてくれる。
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